神経性大食症
[疾病概念、症状]
むちゃ食い障害(むちゃぐい障害、無茶ぐい障害)(Binge Eating Disorder)というのは、むちゃ食いエピソードを繰返すが、神経性大食症に特徴的な代償行為(自己誘発性嘔吐、下剤使用、利尿剤使用、激しい運動など)の定期的使用をしないタイプです。
むちゃ食いエピソードには、普通よりずっと早いスピードでたべること、満腹で気持ち悪くなるまで食べること、生理的な空腹を感じていない時に食べること、過食後に自己嫌悪感や罪悪感を持ったり、抑うつ的になること、などの特徴があります。
1992年にSpitzer RLらによって提唱されました。
[有病率、男女差]
患者のほとんどは肥満者であり、むちゃ食いエピソードではなく、肥満の治療を求めて受診することが多いと言われています。欧米での一般人口中での有病率は0.7-4%、拒食症よりははるかに多く、過食症より多いか同等の有病率があるとされています。あるいは肥満治療プログラム参加者では、約3割がむちゃ食い障害であるという報告があります。男女比は、2対3で女性に多いものの、拒食症、過食症と比べると、男女の差が少ないという特徴があります。
[摂食病理、精神病理]
摂食病理や精神病理に関しては、神経性大食症よりは軽症、あるいは神経性大食症と非過食肥満症との中間に位置するといわれています。
[長期経過]
中、長期経過では、神経性大食症よりは経過良好で、6ヵ月後には、約半数で部分的軽快がみられ、5年後転帰の調査でも神経性大食症よりは経過が良いようです。
[精神的合併症]
精神的合併症としては、大うつ病、パニック障害、物質使用障害、境界性人格障害などとの合併率が高いことが知られています。
[鑑別診断]
鑑別診断としては、非排出型の神経性大食症、非定型うつ病、単純肥満、非定型摂食障害(とくに、だらだら食いや気晴らし食いを伴う例)
[治療]
治療は、神経性大食症のそれに準じます。
[日本の状況]
むちゃ食い障害は欧米では神経性大食症と同等あるいはそれ以上の有病率があると報告されています。日本では欧米に比べて有病率が低いことが予想されますが、利用できるデータがありません。この疾患は、日本ではあまり知られていないため、患者が、「摂食障害ではない」と言われて、病気扱いをしてもらえなかったという報告をよく聞きます。
神経性大食症01 神経性大食症02 神経性大食症03 神経性大食症04 神経性大食症05
神経性大食症06 神経性大食症07 神経性大食症08 神経性大食症09 神経性大食症10
メルクマニュアル家庭版 摂食障害の診断基準 DSM-IV診断 むちゃ食い障害 ぼうせい 中枢性摂食障害異常症
摂食障害とは? 神経性無食欲症 神経性無食欲症 精神科神経科 認知行動療法 摂食障害 神経性大食症